今月の注目本 感性で読む小説!
ファントム・チルドレン 大罪の楽園 著者:鳴門航
ファントム・チルドレン 大罪の楽園 著者:鳴門航 06ミステリー・サスペンス

会社を解雇され、目的を失いつつあった鳥居恭介は、そんなある日、姉の静香から「最近、息子(翔太)の様子がおかしい」と相談を持ちかけられる。中学生の翔太と27歳の自分とでは、年代にギャップがあると思いながらも、恭介は話し相手くらいなら……と翔太の元を訪れた。若干、冷めた見方をする13歳ではあったが、翔太の言動には、別段、変わったところは感じられない。しかし唐突に翔太の口から発せられた「──僕はここにいるかな?」という一言は、恭介を凍りつかせた。数日が経ち、仕事を探す日々を送りながらも、何か別のものが胸に引っ掛かっていた恭介に、姉から電話が……。目の前で突然、翔太が消えたと言うのだ。失踪ではなく消滅──常識では考えられない不可解な現象を追ううち、恭介は謎のネットサイト・“ファントム”に突き当たる……。伝染する“人間の消滅”を起点に、脳と精神の奇妙な関わりを描いたマッド・スリラー!

フロンティア 著者:神部眞理子 01/文学

この日、市立東共立総合病院の消化器内科には、部長である野田善之と研修医ひとりしか居なかった。年に一度の内科学会に副部長以下の若手が全員出席していたためである。そんな閑散とした診療体制の中、急患の初老男性が運ばれてきた。野田は、症状から見て肝硬変を疑った。その時、いやな汗とともに、ある恐怖がにじり寄った。実は野田自身もC型肝炎ウイルス陽性患者だったのだ。肝硬変や肝臓癌の大きな原因であり、一度感染してしまうと不治のC型肝炎は、なだめすかしながら、一生付き合っていかねばならない。特効薬がないこの病気から患者を救いたい、もちろん自分自身も……。野田は肝細胞増殖因子による臓器再生療法の可能性に活路を見出し、新しい医療技術の導入に執念を燃やす。己の肝臓の悪化と闘いつつも、医師としての義務と誇りを胸に、体外再生肝臓移植への第一歩を踏み出した男の熱い生き様を描いた小説。

フロンティア 著者:神部眞理子
Precious Memory 著者:石井秀典
Precious Memory 著者:石井秀典 01/文学

ある朝、目を覚ました淳は、自分が泣いていることに気づいた。隣で眠っている恋人のユリが死ぬ夢を見ていたのだ。涙が止まらないのは何故……。久しぶりのデートの日、いつも優しいユリに突然謝られた淳は、「来年の誕生日は一緒にいられないかもしれない」と告げられる。思わず別れ話かと思ったが、真相は違うところにあった。最近、体調が優れないと口にしていたユリは、余命数ヵ月の身だったのだ。担当医と母が話している内容を聞いてしまったとユリは泣きながら淳に伝えた──。職場でのふとした勘違いがきっかけで、付き合うことになった二人。順風満帆で、その絆を引き裂くものは何もないように思えたが、医師の告知は残酷だった。淳は内緒で会社を辞め、すべての時間をユリに捧げることを誓う……。思い病に侵されながらも常に明るくふるまう女と、最期まで一緒に居たいと願う男の純真な愛が胸に迫る──温かな涙に満ちた物語。

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