特定の組織内で使用されているネットワーク(LAN)は、多くの場合インターネットと接続していて、世界中のネットワークにアクセスできるようになっています。その場合概ね、LANとインターネットとの間にファイアウォールという防火扉のような働きをするソフトウェアやハードウェア、あるいはルータを介して接続されています。LANと、世界中の人間がアクセスしているインターネットを直接つないでしまうと、インターネット上からLAN内のデータに不正にアクセスされて重要なデータを操作・改竄・消去されたりすることになり、安全性の問題が発生します。ファイアウォールはそんなことがないように、LANと外部のネットワーク(インターネット)の間に立ち、やりとりされるデータのすべてを規制して、認められているプロトコルやデータ以外は通過できないようにします。
機能的には、組織内外からの通信要求をすべて捕捉し、恣意的に通過させたり通過を禁止したりすることによって、必要なサービスだけをユーザーに提供しながら、セキュリティを確保します。ただし、ファイアウォールの構築方法には特に決まった形式があるわけではなく、その組織のセキュリティに対するポリシー(方針)によって大きく異なります。一般的には、セキュリティを強化するとユーザーに提供できるサービスが限定されたり制限を受けたりします。逆に、インターネットのサービスを比較的自由に使えるようにすると、その分安全性は低下することになります。
一般の家庭でセキュリティを確保する場合のことを考えてみましょう。一軒の家でドアや窓を開けるときいつも鍵がかかっていると運用・管理が面倒です。けれど、防犯を徹底するにはそうしなければなりません。さらに、それぞれが同じレベルで管理されていないと、その家のセキュリティ・レベルはもっとも管理レベルの低い窓やドアのレベルに落ちてしまいます。玄関のドアの鍵は確実に閉まっているが、子ども部屋の窓はときどき閉め忘れていることがあるというのでは、その家のセキュリティ・レベルは「ときどき危険」ということになります。
ネットワークのセキュリティでも同じことが言えます。企業のセキュリティ管理について考えてみましょう。東京本社のセキュリティ管理は万全であっても、大阪ではそれほど精度の高い管理が行われていないかもしれない。そのような状態の社内ネットワークでは、全体のセキュリティ・レベルは東京本社の完璧さを維持できません。通信コストより安全性を優先させる企業では、インターネットとの接続点を少なく絞ることによって安全性を高めています。
必要なサービスだけを恣意的に通過させる方法として、アプリケーションゲートウェイ(Proxy)、サーキットレベルゲートウェイ、パケットフィルタの3種類がありますが、実際のシステムではこれらを柔軟に組み合わせて安全性の高いファイアウォールシステムを構築しています。
しかし近年はインターネット上のアプリケーションが増え、侵入技術も高度になっています。この動きに対応するため、ファイアウォール自体のプログラムやアクセス権限の設定が年々複雑になり、人為的な設定ミスやプログラムのバグが増えている問題もあります。
ファイアウォールの種類としては、IPヘッダに含まれている情報を元に通信を制御する「パケットフィルタリング」、アプリケーションからの操作を中継する「アプリケーションゲートウェイ」、格層からの情報を元に作ったテーブルをベースにセッション単位でフィルタリングを行なう「ステートフルインスペクション」があります。最近ではVPN(Virtual Private Network)の機能を搭載した製品が注目を集めています。しかし、安易なVPN の採用はネットワークに弱点を持ち込むことになります。使い方によっては、セキュリティ・レベルが大きく低下する危険があるので注意が必要です。
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