ブロードバンド(高速大容量通信)が脚光を浴びることになってから1年以上が経過しました。先行したCATVを2001年度末にはADSLが逆転、さらに2003年度からはFTTHの加入者が急増し2005年度にはADSLを抜いてブロードバンドの主役に躍り出るものと予想されています。
FTTHとは「Fiber To The Home」の頭文字を取ったものです。その名の通り、家庭まで光ファイバーケーブルを引くということ。光ファイバーにはコンピュータ用のデータ、テレビ映像、音声通信(電話)などの情報を流すことが可能で、高速かつ常時接続のネットワーク環境を手にすることができるようになります。
このFTTHの魅力はズバリ、従来の銅線などを使った通信インフラと比べて桁違いにデータの伝送能力が高いということです。実験レベルでは、毎秒約3.3テラビット(テラはギガの1000倍)、商用の光ファイバーでは毎秒16テラビットを実現しているそうです。ADSL(1.5Mbps)の約2000万倍といわれても、想像もつかないスピードです。実際のサービスのレベルでは、「最大100Mbps」というのが基本速度設定とされています。それでも、現在インターネットへのアクセス手段として定着しているアナログ電話のダイヤルアップ(最大56kbps)、ISDN(最大128kbps)、ADSL(最大8Mbps)、CATVインターネット(最大2Mbps程度)と比べると、格段に高速で、広帯域であることは間違いありません。回線速度は想像を絶するレベルまで進化しているようです。
速度が速くなれば、インターネットもより一層快適に利用できるようになります。同じ画像を表示させるのにも、ISDNでは数秒から数十秒かかる場合でもFTTHであれば一瞬で表示されるようになります。画像が大量にあるホームページでも素早く目的のアイテムを探すことができるようになるでしょう。音楽配信サイトなどで5Mバイトぐらいある曲のデータをダウンロードする場合でも、FTTHであれば数秒から数十秒で完了することになります。
まさに夢のインフラとも言えるFTTHですが、既設の銅線を使った電話網と比べ、ケーブルや光/電気信号の変換装置などに多大な投資が必要となります。また、ケーブルの敷設自体も長期の工事期間と莫大な費用がかかってしまいます。
ところによって、非常に強いFTTHのユーザーニーズがあるとしても、それに対してNTTが即対応するというわけになかなかいかなかったのです。なぜなら、その時点で部分的なFTTH対応をしたとすると、将来、もっと低コストでFTTHが実現できるようになった場合、結局、二重投資になりかねないと考えられるからです。
そんな状況下、2002年初めに東京電力本体が通信事業に参入、「通信界のガリバー」NTTに挑戦することになりました。東京都の目黒、大田、世田谷3区の一部を皮切りにFTTHの受付を始めています。東京電力は地域に張り巡らした送電線沿いにNTTを上回る光ファイバー網を既に保有しており、電力事業での営業力ももっているのでNTTにとって強力なライバルとなり得ます。
一方、ガリバー・NTTは将来の通信基幹インフラとして、ここ10数年に渡って国内中に光ファイバー網を整備してきました。その投資額は年間数千億円とまで言われています。その甲斐あって、既に光ファイバー網は全国の県庁所在地に行き渡っています。
ただ、たとえ光ファイバーが近くまで来ていても、敷設する際に問題が生じる場合があります。銅線と違った弱点があるのです。光ファイバーは急角度で折り曲げると反射角に乱れが出てしまい、データの損失が急激に増えてしまいます。ケーブルを自宅内などに引き込む際にはゆったりと曲げなければなりません。集合住宅や借家の場合、光ファイバーを引き込むために管理組合や大家さんとどうやって折り合いを付けるのかが問題になるわけです。
結局、どうやって幹線終端から家まで光ファイバーを引き込むのかという問題、いわゆる「ラストワンマイル問題」がまだ解決されておらず、この問題をいかに解消するかが、今後、FTTHが発展するためのキー・ポイントになるでしょう。
今考えられているFTTHのネットワークには、既存の電話サービスも含まれるのでしょうか。技術的には電話サービスも乗るように作られています。ただし、現在運用されているNTT「Bフレッツ」では電話サービス機能は入っていません。
実際、FTTHで電話サービスもやるとなると、それは事業として採算が合うか、“ユニバーサルサービス”あるいは“ライフライン”として誰もが確実に安価な値段で使えるかどうかなど、別の次元での問題が生じてきます。
ユーザーニーズ、コスト以外の問題としては、家の中の問題があります。一番ややこしいのが古い集合住宅で、光ファイバーを引こうとしてもまったくスペースがないのです。こうしたところには、普通のやり方で光ファイバーを引き込むのではなく、家の入り口まで光ファイバーを通して、あとは無線などいろいろな技術を組み合わせることで対応することが考えられています。ただ、そうした部分の工事にかかるコストの問題が今後に残された課題です。
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