コラム

document 29 「持っている時間が短いもの」
最近すっかり外の空気も冷たくなって、冬もいよいよ本番ですね。風邪なんかも流行っているみたいですが、皆さんは大丈夫ですか?ちなみに私はちょっと風邪気味。今はノドが痛いので加湿器と仲良くする事にしています。

さて「短い」にこだわったコラム、第2回目のテーマは「持っている時間が短いもの」です。
私自身が持っている(所有している)時間が短いと感じたのは「パソコン」。今でこそパソコンの中身はパーツの交換ができ、本体にあたる部分の寿命は長くなっていますが、私がパソコンらしきものを使い始めたのは20年前。
当時は「ポケコン」といって電卓がちょっと偉くなったようなヤツを持っていました。
ゲームをするにも自分でプログラムを組み、キャラクターなんかも数字がチョコチョコ動くだけで、何をやっているのかは本人でないとわからないといった世界のもの。そんな機種をはじめとして、現在この文章を作っているパソコンにたどりつくまで歴代で12台以上は買い替えたと思います。
まあ買い方も悪かったんですが、貧乏だった私は少しでも安い物をと、型落ちになった機種ばかりを狙っていたので使い始めた時点で、すでに旧型。周りの環境が変わるとすぐに対応できなくなり、やがては不便を感じて買い替えるという事に……。

また、人がものを持っている時間が短くなる理由は何も「不便」を感じた時だけでなく、「不安」を感じる時もそうでしょうか。
私の場合、自分が小心者のせいか、幼い頃から不安を感じたものはすぐに手放してしまいたいタイプ。簡単なところではトランプの「ババ抜き」でのジョーカーがそうでしょうか。
私が幼い頃の環境と言えば、近所の友達は年上の人が多かったので、何かで遊ぶにしても大抵は私のほうが要領が悪く、トランプなどのゲームでも負ける事が多かったんですね。そんな環境のせいか、ババ抜きでジョーカーを手にした時の不安な事。特にゲームの後半でやってくるとさらに不安なんですよね。「また負ける」ってね。
だから、広げたトランプから相手にジョーカーを抜かせるテクニックだけは上達していったみたいです。
まあ、こんな心境ってのは幼い頃の話なんですけどね……。

そうは言いながらも、実は最近になってさっきの「ババ抜き」での心境を味わう事件が起きてしまったんです!
とあるハンバーガーショップでの出来事。ドライブスルー入り口で注文をしたあと車を移動し、お金を払おうと財布の中を見てみると、たまたまその日は一万円札しか入ってなかったんですね。一万円+端数の小銭を手渡すと、何故か店員さんは少々困った様子。千円札を数える行為を何度か繰り返したあげく、次に出てきたセリフは「二千円札でもいいですか?」でした。
まあ、ここで「イヤだ!」って言ってみたところで、二千円のかわりに五百円を4枚とか百円を20枚も渡されたら私の財布の中身は余計にややこしくなる訳で、当然のことながら私の答えは「ああ、いいですよ」だった訳です。
さて問題はその後で、私のその時の心境は「ババ抜き・ジョーカー」状態。この「二千円札」を使いたくてというより、手放したくてしょうがない。
造った人には悪いですが、私としては一万円や五千円ほど大きいお金じゃないし、ほとんどの自動販売機でも使えない「二千円札」はあまり持っていたくない「お札」。すぐさま近くのコンビニで、例の二千円札を使う事にしたのですが、レジの前で私はニセ札でも使っているかのように何故かドキドキ。思わず私が口にしたセリフが「二千円札でもいいですか?」

「ニセ札」にちなんだものといえば「たそがれナンバーズ」の中に「上手すぎた男」という話がありますので、ぜひ読んでみてください。
「日常」の中の「非日常」。毎日がネタになる。それが私の「たそがれナンバーズ」です。

つづく

岡 信夫(作家『たそがれナンバーズ』好評配信中)

(01)「短くなったもの」
(02)「持っている時間が短いもの」
(03)「短いお話」
(04)「伝わる時間が短くなったもの」
(05)「ゴミになるまでが短いもの」
(06)「解決までの時間が短くなったもの」
(07)「結果が出るまでの時間が短くなったもの」


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