コラム

document 37 「お酒と愚か者」
こんにちは。「愚か者にシッポはふらない」の早瀬竜太郎です。こちらのコーナーでは、本のタイトルにちなんで、街で見かけた「愚か者」について書かせていただいています。今回は「お酒と愚か者」です。世にも不愉快な酔っ払いの不思議について掘り下げていきましょう。

お酒っておいしいのでしょうか? 私はお酒がまったく飲めないので「酒の席」にはほとんど参加しないのですが、みんなが笑顔で飲んでいるところを見ると、きっとおいしいのでしょう。しかし「愚か者」にお酒を飲ませてしまうと、ちょっとやっかいな事態が発生してしまいます。
どうしても付き合いを断り切れず飲み会に参加した場合、私はウーロン茶を飲むことにしています。すると、そんな私に対して、こんな声をかけてくださる方がいらっしゃいます。
「あれ? 何でそんなモン飲んでるの?」
親切な彼は、そう言ってお酒をついでくれます。私が丁重にお断りすると、
「何だよ、つまんねぇな」
なぜか彼のご機嫌は悪くなってしまいます。
「少しぐらい、いいじゃないか」「まあ、乾杯だけでも」などと言いながら、酔っ払いはお酒をすすめてくれます。ときには怒りながら、「飲めよ!!」なんて強要してくる人物もいます。
「飲めないなら、飲み会に来るな!!」とブチギレされたこともありました。「じゃあ、俺を誘わなきゃいいじゃん」とお返事したら、余計に怒られてしまいました……。
一体どうして、彼らは他人の好みに介入してくるのでしょう? 意味がわかりません。

お酒を飲むと、彼らはなぜか音声のボリューム調整が故障するようで、相手がどんなに近くにいようとも、大声でお話をはじめます。でも、何を喋っているのか、シラフの私には正しく理解できません。キーキーと騒ぎながら、彼らは独自の世界を楽しんでいます。居酒屋は、まるで奇妙な生き物が集まる動物園のようです。
居酒屋を飛び出した動物たちは、今度は町の中で大騒ぎをはじめます。騒ぎ疲れると、道端で排尿もします。気分が悪くなると、嘔吐物を撒き散らす場合もあります。
きっと、彼らには何か嫌なことでもあったのでしょう。飲んで、騒いで、日常のストレスを発散させたいのでしょう。彼らの気持ちは十分に理解できます。しかし、第三者の私が迷惑をかけられる理由はどこにも見当たりません。
大騒ぎの一夜が明けると、彼らは「きのうはゴメン、酔ってたから」と言います。「酒の席での話じゃないか」などと、開き直ったりする場合もあります。
私はそんな酔っ払いを、いつか殴ってやろうと考えています。そして次の日、私はその人に言うでしょう。「ごめん、酔ってたから……」。

もっとも悪質な酔っ払いの行動に「飲酒運転」があります。人の命にも関わる、重大な犯罪です。2002年6月から、酒気帯び運転の罰金が30万円に値上げされました(ちなみに以前は5万円)。これによって、飲酒が原因の事故件数は減少したそうです。
飲酒運転の罰則が強化されたことをきっかけに、巷では「ノンアルコール飲料」が流行り出しました。下戸の私としては「そうまでして酒を味わいたいのか!?」という気がしますが、お酒が入っていないのに、お酒の味がするという驚くべき飲み物に興味を感じて、私も一本購入してみました。ところが、一口飲んでみたところ、やはり変な味がします。缶をよく見ると「アルコール度数0.5%」という表記が……。全然ノンアルコールじゃないじゃん!! 酒入ってんじゃん!! だったら「ノン」って言うなよ!!
聞くところによると、アルコール濃度1%未満のものは「ノンアルコール」という表記にしてもよいそうなのです。間違って子供が飲んだらどうするのでしょう? 酒が一滴もダメな私が、この飲料を何本も飲んで、そのまま車を運転して、気持ち悪くなって事故を起こしら、それは誰の責任なのでしょうか? ノンアルコール飲料は、そういう意味でも驚きの飲み物でした。

次回のテーマは「子供と愚か者」です。不運にも、愚か者の元に生まれてしまった子供たちは、どんな風に生きていけばいいのか……。愚か者の親子関係について考えたいと思います。

つづく

早瀬竜太郎(作家『愚か者にシッポはふらない』好評配信中)

(01)「電車と愚か者」
(02)「タバコと愚か者」
(03)「お酒と愚か者」
(04)「子供と愚か者」


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