今回取り上げるのは、世界中で大人気のSF映画『スター・トレック』シリーズ。テレビのオリジナルシリーズ(以下TOSと略す)のころから熱狂的なファンがいて、彼らがトレッキーと呼ばれていることをご存じの方も多いことでしょう。もちろん、私もTOSと映画版だけは全部観てます。実は私は隠れトレッキー。悪口なんぞ、これっぽっちも言いたくありません。でも、やっぱりところどころヘンなところがある。言わずにはいられない。愛すればこその苦言。まあ、そう思ってください。
さて、『スター・トレック』(以下スタトレと略す)のどこがそんなにヘンなのか。これから列挙していくけど、まずは出てくる異星人ですな。とにかくこれは笑っちゃうのであります。
最初はバルカン人。なんと、耳がとがってるだけで宇宙人! そのほかは地球人と何ら変わらない。精神構造は全く違うけど、耳を除けば見た目は全く一緒だし、男女の区別があって、性行為によって子孫を作る。それどころか、主要キャラのスポックなんか、地球人とバルカン人のハーフでっせ。そうか、宇宙人も地球人とエッチして子供を作ることができるんだな。科学者が聞いたら泡吹いてぶっ倒れるぞ。
クリンゴン人も、頭が(地球人から見て)グロテスクなだけで、あとは地球人とほとんど変わらない。劇場版第1作(1979年)に出てくるデルタ人のアイリーアなんか、ただツルッパゲなだけで宇宙人っていう設定になってます。もう少し工夫したらどうだと言いたくなる。
もちろん、これにはちゃんと理由付けがなされてます。スタトレに出てくる宇宙人がなぜヒューマノイド(地球人型)ばかりなのか。それは太古に銀河系で自らの種をまいた種族がいたからです。そいつらがヒューマノイドだったのです。つまり、みんなそいつらの子孫。だから、出てくる異星人種がほとんどすべて地球人型なワケ。
それでもなお、もうちょっと何とかならんのかと思っちゃうのよね。ま、TOSでは珪素系の生物なんてのが出てきたこともあったけど。でもやっぱり、ただの動く岩だったぞ。
恐ろしいのは初代エンタープライズ号の艦長カークであります。映画シリーズではさすがにお歳を召されていたのでそんなこともなかったのですが、TOSではやりたい放題でした。女と見れば、異星人だろうがなんだろうがお構いなし、片っ端から手を出す。たとえ全身緑色のウロコに覆われていても、女でさえあれば全く気にしない! 男もここまで徹底してスケベなら見上げたもの。
エンタープライズ号はワープ航法で、つまりは超光速で航行してるんだから当たり前だけど、何十光年も何百光年も何千光年も離れてる星が動いて見える。でもこれ、どう考えてもおかしい。ふつう、光速に近いスピードで航行すると、物体は前方に偏って見えるようになるそうです(と、ガキのころに何かで読んだ)。あんなふうに星が飛び散るようには見えないはず。それどころか超光速である。そんな速度が相対性理論から言ったら不可能なので、船外の物体がどんなふうに見えるか、物理音痴の私にはもうわかりません。
超光速で航行してるときに星が飛び散るように見えるのはまだ納得できます。ところが太陽系内ですらそう見えるのはいったいどうしたことでしょう。劇場第1作ではわりと冒頭のほうで太陽系内をワープ航法で進むのですが(いったいどんなスピードなんだ)、木星などの惑星の背景にある無数の恒星のほうが木星やその衛星よりもはるかに速いスピードで飛んでいきます。それから第4作の『故郷への長い道』(1986年)にいたっては、タイムトラベルするために太陽に突っ込んでいくときに、その背景の無数の恒星が飛び散っていました。まさか太陽まで宇宙船と一緒にワープスピードで飛んでいたわけではあるまい。
第3作の『ミスター・スポックを探せ!』(1984年)なんか、もっとおかしかったぞ。なんと、エンジンが切れた途端に宇宙船がそのままストップしてしまう! 「慣性」はいったいどこへ行ったんだ?
ま、そんなことはどうだっていいや。楽しければそれでよしとしましょう。映画なんだから、いちいち目くじら立てることないし、映像効果のためにわざと非科学的なことをするということもある(宇宙空間で一切音がしなかった『2001年宇宙の旅』ですら、映像的にわかりやすくするためにあえて科学的にはあり得ない撮影をしています。詳しくはまた取り上げる機会があるかもしれません)。
でもなあ、あんましこんなことばかりしてると、そのうちきっとこんなセリフが飛び出してきそうで怖いぞ。「艦長、敵艦がこちらへ向かって破壊光線を発射するのが見えました! 回避不能!」……よく考えてみてね。
つづく
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