コラム

document 58 どこから来てどこへ向かうのか〜昨日までの科学
前回、「今の科学」という言葉を二回使いました。改めて考えると、その言葉は、十中八九は否定的な意味で使われていると思うのですがイカガでしょうか? 「今の科学では説明がつかない」なんてグアイに。でも、その「今の科学」のおかげで、昨日までの認識が誤っていたことを教えられることは日常茶飯事です。ナント言ってもそれを科学と呼ぶのですから。
そこで今回は「昨日までの科学」、今日の発見により間違いであったと烙印を押された科学について考えてみたいと思います。ですが、あまり構えて読まないでください。昨日まで効くと信じられてきた薬になんの効果もないと証明されただとか、アナタの住む街に大地震が迫っていることが判明しただとか、そんな大それたことは書きません(書けません)。誰でも知っている、たとえ新たに発見されても一般人がごく普通に生活しているぶんにはイタクモカユクモない話題です。

サテ、このテの話ではガリレオ・ガリレイの地動説にトドメをさすでしょう。地球は宇宙のど真ん中でデンと居座り、セセコマシイ月や太陽や火星などがその周りをグルグル回っている。ところが1632年、著書「天文対話」の中で彼は地球は動いていると発表しました。17世紀のイタリアで教会がどれほど恐ろしいものであったかを想像するのはなかなかムズカシイことではありますが、ガリレオがそう発表したくらいですから、お隣の国のショウグンサマほどは恐ろしくなかったとは思われます。それでも彼は相当言葉を選んで自らの考えを主張したとのことです。残念ながら、無学なボクは原書を読むことはできませんが、ソウゾウスルニ、「もしかしたら地球は動いていなくないかもしれないような気がします」とでも書いたのでないでしょうか。そんなに気を使って書いたのにもかかわらず、彼は宗教裁判にかけられ、新しい考えを捨てることを誓わされます。その後も軟禁され、失意のもとに一生を終えました。それから約350年後の1992年、ローマ法王がガリレオに謝罪したくらいですから、認められることはありませんでしたが「昨日までの科学」が間違っていたことは疑う余地がありません。
デスガ、教会の言うことも判らないではありません。イイエ、何も神様がニンゲンサマを中心にすべてをお創りになったとは言いません。でも、いまだもってこのボクもにわかには信じられないのです、地球が動いているなんて。ダッテソウデショウ。この地球が太陽の周りをグルグル回っているならば、そのスピードはナント時速10万キロにもなるんですよ! こうして原稿を書いているあいだも、トイレに入っているあいだも、カワイコチャンとドライブしているときも、牛丼をかき込んでいるあいだも、アナタもボクも時速10万キロ。神様に感謝しなきゃならないのは、時速10万キロで宇宙空間を疾走する乗り物があまり揺れないことです。もしこれが船やバスのように揺れたらドウデショウ? かたときも乗り物酔い止め薬を手放せません。
シカシナガラ、宇宙の中心は地球でなく太陽だとの大発見も、永遠に真実の座に居座ることはできませんでした。ボクラにとってはすべての恵みの源である太陽も、銀河系の中にある無数にある恒星のひとつにしか過ぎないことが判り、その銀河系でさえこの大宇宙のなかには無数にある銀河のうちの一つでしかないことが判ってしまいました。サラニサラニ、最新の宇宙論には、この宇宙でさえいくつもある宇宙のひとつに過ぎないと主張するものさえあります。

サテ、最新の宇宙論といえば、100億年から200億年前に宇宙は極小の一点から始まり、いまも膨張を続けているというビックバン理論ですが、ソモソモ宇宙が広がっている、と主張したのは、NASAの宇宙天文台の名前にもなっているエドウィン・ハッブルという人でした。地球から遠く離れた星ほど速く地球から遠ざかっていることを発見したのです。さてこのハッブルさん、巻尺なんか絶対にとどかない遠くの星が遠ざかっているのをどうやって見つけたのでしょう? 
次回はハッブルさんから始まったビックバン理論についてチョコットだけ想いを巡らせてみたいと思います。

つづく

中原 磐(作家『ブラッディ・インセクツ』好評配信中)

(01) どこから来てどこへ向かうのか
(02) どこから来てどこへ向かうのか〜一歩間違えば
(03) どこから来てどこへ向かうのか〜昨日までの科学
(04) どこから来てどこへ向かうのか〜信じていいの?
(05) どこから来てどこへ向かうのか〜大間違い
(06) どこから来てどこへ向かうのか〜パソコンはどこへ行くのでしょうか?
(07) どこから来てどこへ向かうのか〜それでも新しいPCが欲しいのデス
(08) どこから来てどこへ向かうのか〜一番大事などこへ向かうのか
(09) どこから来てどこへ向かうのか〜番外編


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