これまで生物や宇宙の進化、「どこから来てどこへ向かうのか」について思っていることを勝手に書き連ねてきましたが、最近ひとつ気になっている「どこへ向かうのか」があります。コレを読んでくださっているミナサンは、大なり小なりパソコンをお使いになられていると思いますが、ドウデショウ、パソコンの進化は? あまりに速いと思いませんか?
ビックバンから始まった宇宙が今のかたちになるまで100億年から200億年。ごく単純なタンパク質から生れた生命が現在に至るまで30数億年。……イヤイヤ、これはちょっとスケールが違いすぎましたね。では、もうチョット身近なたとえを。カール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーが自動車を発明してから117年。ライト兄弟の初飛行からちょうど100年。世界初の真空管電子計算機が米国陸軍の弾道計算のために開発されてから57年。そしてミナサンがいま目の前にしているパソコンの原型である、4ビットCPU・インテルi4008が発表されたのが1971年ですから、まだ32年しかたっていないことになります。
ソモソモ、ボクが初めてパソコンなるものに触れたのは中学生の時ですから、カレコレ20年も前になります。担任の先生が学校に持ち込んだのがNEC PC8801。まだモニターは緑と黒で、記憶デバイスはカセットテープでした。分厚い専門誌を買ってきては、昼休みや放課後にプログラムを入力したことを覚えています。もし、あの時、無限の可能性が広がっていたボクがプログラミングというものに興味を覚えていたなら、今頃ボクは「窓」というOSを開発した会社のCEOになっていただろうし、相当高価であったに違いない先生のNECを分解するほどハードウェアに興味を持っていたならば、今頃「リンゴ」というパソコンメーカーのオーナーになっていたことに疑う余地はありません。しかし、人生は皮肉です。ボクの未来などおかまいなしに、先生はNECとともに転任してしまいました。それでボクとパソコンの関係は一時中断し、第2の出会いは20代前半のことでした。ジツを申しますと、フライトシミュレーターがやりたくてパソコンを買ったのです。あれから十数年。フライトシミュレーターは驚くほど進化し、カクカクだったセスナ機は今やチョーリアルなジャンボジェットになり、空港の管制塔と無線でやり取りすることすらできるほどになりました。当然、それを動かすハードウェアも劇的に進化し、当時30MHzほどであったCPUはすでに3GHzを越え、百倍近い周波数となりました。そう、まさに恐るべき速さの進化です。数ヶ月ごとに高周波数のCPUが発売され、年に一度くらいの割合でまったく新しい製品が誕生します。CPUの二大メーカーは互いに競い合い、ライバルよりも少しでも高性能な製品を、僅かでも早くリリースするためにしのぎを削っています。
ここでボクはフト思い出します。過去に似たような出来事があったことを。
バブルの頃の自動車が、ちょうど今のパソコンと同じだとボクには思えるのデス。発表される新型車には必ず「世界初」が盛り込まれ、そうでなければライバル車よりも1馬力でも大きな出力のエンジンを搭載していました。どう考えても必要とは思えないほどの馬力を持ったエンジンのスポーツカー。林道なんて走りやしないのに妙に背の高い4WD車。使い方を覚えることもままならないほどの快適装備。
しかしバブルの崩壊と共に「世界初」も徐々に減り、過当馬力競争もなりをひそめました。もちろん、今でも「世界初」の新技術は日々開発され、エンジンの効率も向上していますが、当時のように華やかでもセンセーショナルでもありません。それと同時に消費者の興味も別のものへ移りました。それは本屋さんにならぶ自動車雑誌の棚が年々縮小されてきたことでも見てとれます。
で、ハナシをパソコンに戻します。ITバブルという言葉はすでに過去のものになりましたが、少なくともパソコンのハードウェアにおいては今がバブルのように感じられます。
元々機械の好きなボクとって、新技術が次々と登場するこのギョーカイは興味をそそられるのですが、CPUバブル崩壊の足音がヒタヒタと聞こえるような気がして背筋にツメタイモノを感じている今日この頃なのです。
つづく
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