コラム

document 90 ゆびは物語る〜捨て身の言葉の旅立ち〜
「ニュースの絞り汁」のさらしゆびおです。これから数回に渡りこのドキュメントを担当させて頂きます。いっしょにゆびの旅の物語に付き合っていただければありがたいと思います。さぁ、行こうサム。
今日は世間に溢れる広告についてお話しようと思っています。広告と言ってもそれは山ほどありますね。コマーシャルだとか、パソコンで鬱陶しく現れるポップアップ広告やバナー広告、電車の吊り広告、イベントとして行われるような広告事業、世間は広告に溢れています。
ですが、今日はそんな中で普段私たちが結構目にしているのにも関らず、決して大きな扱いを受ける事のない可哀想な存在「ステ看板」について考えてみたいと思います。
ええ、道路の電信柱に括られてる細い木と布に印刷されて作られた看板のあれです。
この「ステ看板」、広告方法としては違法で撤去されるべき物なのですが地域密着のスポット広告としてかなり有効ですし、コスト的にも安い。ですから撤去されても無くなる事はないんですね。そして、その内容も簡単に捨ててしまうにはもったいないものもあるわけです。その一例を紹介しましょう。
「コスチュームギャル軍団来襲!! ムフフな攻撃が炸裂!!
さぁ、いまこそ行くんだ。キャバレンジャー!!
エンジョイキャバクラ○○」
この看板を見たときには普段その正体を隠している私も性技の力、もとい正義の力を見せなくてはと思いましたね。
「そうか、そんな事になっているのか?! これは私がなんとかしなくては……」と正義感に訴えるものがありました。
○○レンジャーモノの番組は30分で終わりですが、私の場合、延長延長でロードオブ・ザ・リングくらいの長い時間が掛かってしまい、財布が薄くなりました。
これでしたら、このお店に行って帰りが遅くなって次の日に子供に「お父さん、昨日は帰りが遅かったね」と言われたとしても子供にこっそり「お父さんはな、実はキャバレンジャーだったんだ。昨日の夜は、出動命令が出て大活躍していたんだぞ」と言えるのではないでしょうか。子供も「お父さんってキャバレンジャーだったんだ」と感動するかもしれません。幼稚園や小学校で言い触らされても困りますが……。
次にいきます。
「もう、駄目だとあきらめているあなた。是非お電話下さい。
低金利で一本化!! 即日融資!! この電話があなたを救います
TEL ○○○−○○○○」
えー、いわゆる表ではない金融屋さん(実際には金融でもないんでしょうけど)の広告ですね。
少ない言葉ですが救いを求めている人にはキク言葉なんでしょうね。一本化。実際は大抵破滅の道に一本化されてしまうんですけど。救いを求める人はこれほど怪しい言葉にも縋ってしまうんでしょうね。それにしても救いの電話が携帯電話の番号なんてあり得ないし、この番号が固定電話の番号だったためしがないですよね。それとも、この電話の持ち主はこういう人たちを救うのに忙しく動き回っている為に常に連絡を取るためには携帯電話じゃないとまずいんでしょうか?その辺を伺って見ようかな?
興味があったら電話して見てください。
「教えてやるから名前と住所と勤め先を教えてください」
なんて答えが返ってくるでしょうから。接点を持たない事が一番でしょうね。
そうそう、選挙の時期こんな「ステ看板」がありました。
「1月○日 内閣○理大臣 ○泉純○郎氏来る!!
○○駅前 16:00〜」
いわゆる選挙応援でやってくる事の告示なんですけど、「ステ看板」って、こういう使い方しても良いんですかね?
その横に「ローションたっぷりお持ちしまーす。コスチューム色々、デリヘル宅配ギャルズ」なんてのがあって総理大臣とデリヘルが並ぶ2ショットになってたんですが……。
そう言えばいつも「骨太の構造改革」と言っていますけど看板の木はすごく細かったです。それこそ捨てる時にバキバキに壊してぐしゃぐしゃにして捨ててしまえるくらい。
それで良いんでしょうか?
そうそう、私が何で今回こんな事を書こうとしたのかと言うと、こんな「ステ看板」に出会ったからです。
「私を見捨てないで!!
きっと心に届くはず。
ステ看のダッシュですTEL○○○‐○○○○」
まさに捨て身だ。
捨て身だからこそ心に訴える何かがあるのかも知れない。
「愛してると言ったじゃない」と路上で叫ぶ女性を見たときのような切なさと激情。
ああ、まさに捨て身の力「ステ看板」です。
あなたも普段は見過ごしてしまっている「ステ看板」をこれからはよく見てください。
そこに珠玉の言葉が見つかるかもしれませんよ。

つづく
さらしゆびお(作家『ニュースの絞り汁』好評配信中)

(01) ゆびは物語る〜捨て身の言葉の旅立ち〜
(02) ゆびは物語る〜嘘について考えよう〜
(03) ゆびは物語る〜メール文化を考えちゃおう〜
(04) ゆびは物語る〜シチュエーションについて考える〜
(05) ゆびは物語る〜本当はない怖い話〜
(06) ゆびは物語る〜桜の季節に新年度を想うということ〜
(07) ゆびは物語る〜タイトルは取ったもん勝ちだ〜
(08) ゆびは物語る〜表現の自由という迷宮〜
(09) ゆびは物語る(最終話)〜王の帰省〜


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