写真を趣味にする人は多くいると思いますが、その中には人物の表情を写すのが得意な人、風景写真を専門にする人、動物の神秘を追い求めシャッターを切る人など、さまざまなフィールドで活躍する写真家がいます。
今回紹介する中嶋正人さんは、蝶の姿を撮り続けてきた写真家です。山野での蝶たちのふるまいからは、小さな生きものたちが、それぞれに必死で生きている姿が見えてきます。そこで目にする「生命のふしぎ」に魅せられた中嶋正人さんは、蝶を写すたのしみと感動を多くの人に伝えたいと思い、『「写蝶」のたのしみ 〜レンズのむこうに見えるいのちの不思議〜』を著しました。“写蝶”とは文字通り、蝶の真実の姿をフィルムにおさめること。この写蝶を通じて、中嶋さんは、自然の生態系を肌で感じ取るとともに、小さな生物の生き方を人間の一生に重ね合わせながら、シャッターを押し続けてきました。
中嶋さんは、こんな感想を述べています。山野に生息する生きものに関して、いままで書物や映像から得ていた情報には、実際とは異なる部分もあり、固定観念にとらわれた見解も存在している、と。その固定観念は、既存の情報の中にだけでなく、自分自身の中にもあるものだと気付いたそうです。その思い込みをはらいのけ、現実を解釈しなおしていく過程にこそ、深みと面白みがあるのだと著者は語ります。
蝶の写真をただ撮るのではなく、そこから何かを学んでいく姿には、ひとりの人間としての尊さがあります。本書を通じて、いろいろなことを考えさせられる読者も多いのではないでしょうか。 |
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